再婚で養子縁組をしない選択はあり?割合から見るメリット・デメリットと注意点
新しいパートナーとの門出。幸せな再婚を前にして、多くの方が直面するのが「連れ子との関係をどう形にするか」という悩みです。特に、法律的な親子関係を結ぶ「普通養子縁組」をすべきかどうかは、その後の生活や相続、さらには子供の心情にまで深く関わる重要な決断です。
「周りはみんな養子縁組をしているの?」「しないと困ることはある?」と不安を感じている方も多いでしょう。この記事では、再婚時に養子縁組をしない割合や、あえて手続きをしない選択をする背景、そしてその場合に知っておくべき具体的な対策について、プロの視点から詳しく解説します。
再婚で養子縁組をしないケースはどのくらい?
厚生労働省の統計や司法統計を紐解くと、再婚家庭(ステップファミリー)において、必ずしもすべてのケースで養子縁組が行われているわけではないことがわかります。
養子縁組をしない割合の背景
明確な「未実施率」としての公的統計は年によって変動しますが、実際には約2割から3割程度の世帯が、再婚後すぐに養子縁組を行わない、あるいはあえて行わない選択をしていると推測されます。
かつては「再婚=養子縁組」という考え方が一般的でしたが、現在は家族の多様化が進んでいます。
子供が思春期で、名字が変わることを嫌がっている
実親(元配偶者)との交流が続いており、心理的な葛藤を避けたい
相続トラブルを未然に防ぎたい
このように、家族それぞれの事情に合わせて「法律上の親子にならない」という道を選ぶケースが増えているのです。
養子縁組をしないメリット:あえて「結ばない」理由
養子縁組をしないことは、決して「家族としての絆が薄い」ことを意味しません。むしろ、慎重に状況を判断した結果である場合が多いのです。
1. 子供のアイデンティティと心理的負担の軽減
多感な時期にある子供にとって、名字が変わることや、新しい父親・母親と法的に親子になることは、大きなストレスになる場合があります。養子縁組をしないことで、子供が今の名字を維持でき、学校生活での混乱を防げるのは大きなメリットです。
2. 実親からの養育費を継続して受け取れる
ここが非常に重要なポイントです。再婚相手と養子縁組をすると、法律上は「新しい親」に一次的な扶養義務が生じます。そのため、元配偶者(実親)からの養育費が減額、あるいは打ち切りになるリスクがあります。養子縁組をしなければ、実親の扶養義務はそのまま残るため、経済的な安定を維持しやすくなります。
3. 相続関係をシンプルに保てる
養子縁組をすると、養子は実親だけでなく養親の相続人にもなります。これはメリットでもありますが、再婚相手に先妻との子供がいる場合などは、将来的な遺産分割協議が複雑化する原因にもなります。「あえて法的な親子にならない」ことで、将来の親族トラブルを回避する選択をする方も少なくありません。
養子縁組をしない場合のデメリットとリスク
一方で、手続きをしないことによる不便さやリスクも存在します。これらを把握した上で、対策を練ることが大切です。
1. 扶養控除などの税制メリットが受けられない
所得税や住民税の計算において、養子縁組をしていれば「扶養控除」の対象になりますが、していない場合は原則として控除を受けられません。再婚相手の健康保険の被扶養者に入れることは可能(生計を一にしていれば「配偶者の子」として認められるため)ですが、税制面では不利になる場合があります。
2. 相続権が発生しない
養子縁組をしていない子供には、再婚相手(継親)の遺産を相続する権利がありません。長年、実の親子同然に暮らしていたとしても、法的な手続きがなければ、継親が亡くなった際に一円も相続できないという事態が起こり得ます。
3. 親権・監護権の問題
養子縁組をしない場合、再婚相手には子供の親権がありません。万が一、実親(再婚した側の親)が亡くなった場合、再婚相手は子供の法定代理人になれず、子供が未成年であれば親族間での引き取り問題や、最悪の場合は児童養護施設への入所といった事態に発展するリスクもゼロではありません。
養子縁組をしない場合に取るべき「3つの具体策」
「今は養子縁組をしたくない、でもリスクは避けたい」という方のために、実務的な解決策をご紹介します。
① 遺言書の作成
相続権がない問題を解決する最も有効な手段は、再婚相手が**「遺言書」**を作成しておくことです。「遺贈(いぞう)」という形で、子供に財産を残す旨を明記しておけば、養子縁組をしていなくても資産を引き継がせることが可能です。
② 任意後見制度や公正証書の活用
万が一の事態に備え、再婚相手が子供の面倒を見続けられるよう、死後の監護や財産管理についての希望を公正証書などの文書に残しておくことが推奨されます。法的な拘束力には限界がありますが、親族間の話し合いにおいて強力な証拠となります。
③ 通称名の利用
名字を変えたくないけれど、家族としての一体感が欲しい場合は、学校や日常生活で再婚相手の名字を「通称名」として使用できる場合があります(教育機関の理解が必要です)。これにより、戸籍を変えずに社会的な不便を解消できることがあります。
結局、どう選ぶのが正解か?
再婚家庭の数だけ、正解の形があります。
子供が小さく、新しい家庭に早く馴染ませたい場合は、養子縁組をして一体感を高めるのがスムーズかもしれません。
子供が大きく、自分の意思を持っている場合や、実親からの養育費が生活の柱である場合は、無理に養子縁組をせず、まずは「同居人」として良い関係を築くことに専念するのが賢明です。
大切なのは、パートナーとしっかり話し合い、そして何よりも「子供の気持ち」を最優先にすることです。法的な手続きは、後からでも行うことができます。
まとめ:家族の形は法律が決めるものではない
「再婚 養子縁組しない 割合」を気にされる方の多くは、世間体や周囲の目が気になっているのかもしれません。しかし、現代において養子縁組をしない選択は、決して珍しいことでも、否定されることでもありません。
むしろ、将来の経済的リスクや子供の心理的状況を深く考慮した結果であれば、それは立派な家族の守り方と言えます。
もし迷っているなら、まずは籍を入れずに事実婚に近い形で様子を見る、あるいは入籍だけして養子縁組は保留にするという「ステップ」を踏んでみてはいかがでしょうか。法律という枠組みにとらわれすぎず、あなたたちが最も笑顔でいられる距離感を見つけてください。
この記事が、あなたの新しい一歩を支えるヒントになれば幸いです。
もっと詳しく、特定のケース(相続対策や税金の具体的な計算など)について知りたい場合は、専門家である弁護士や税理士に相談することもお勧めします。納得のいく選択をして、幸せな家庭を築いていきましょう。