再婚相手と養子縁組すると子供の遺族年金はどうなる?受給権が残るケース・消えるケース


大切なパートナーを亡くした後、新しい方との再婚を考える際、お子さんの将来や経済的な支えである「遺族年金」がどうなるかは避けて通れない問題です。特にお子さんと新しい配偶者が「養子縁組」をする場合、年金の受給権が消えてしまうのではないかと心配される方も多いでしょう。

実は、親が再婚してお子さんと再婚相手が養子縁組をした場合、お子さん自身の「受給権」が残るケースと、実質的に「受け取れなくなる」ケースが複雑に絡み合っています。

この記事では、養子縁組が遺族年金に与える影響と、制度上の注意点を詳しく解説します。


親が再婚し、子が養子縁組をした場合の「受給権」

結論から言うと、お子さんが親の再婚相手と養子縁組をしても、お子さん自身の「遺族年金を受け取る権利(受給権)」は消滅しません。

法律では、お子さんが「直系血族(祖父母など)」または「直系姻族(親の配偶者など)」の養子になった場合は、受給権を失わないと定められているからです。再婚相手はお子さんから見て「直系姻族」にあたるため、養子縁組をしても年金を受け取る資格そのものは維持されます。

ただし、「受給権があること」と「実際に現金が振り込まれること」は別問題です。ここからが非常に重要なポイントになります。


遺族基礎年金は「支給停止」になる可能性が高い

お子さんに受給権が残っていたとしても、「遺族基礎年金」については、実際には受け取れなくなる(支給停止)ケースがほとんどです。

その理由は、遺族基礎年金の支給ルールにあります。

  • 「生計を同じくする父または母」がいる場合、お子さんの遺族基礎年金は支給停止される

再婚してお子さんと一緒に暮らしている(生計を同じくしている)場合、あなた(親)という「生計を共にする父または母」が存在するため、お子さんへの支払いはストップしてしまいます。これは、新しい家族として生活の基盤が整ったとみなされるためです。


遺族厚生年金は「受取人」が子供に切り替わる

一方で、会社員や公務員だった方が亡くなった場合に支給される**「遺族厚生年金」は、少し扱いが異なります。**

親(受給者)が再婚すると、親自身の受給権は完全に消滅します。しかし、お子さんと再婚相手が養子縁組をしても、お子さんの受給権は消滅せずに残ります。その結果、親が失った受給権が、次順位である「お子さん」に移る形になるのです。

遺族厚生年金が受け取れるポイント

  • 親の再婚後、お子さんが受取人となる: 親が再婚で失権した後、お子さんの支給停止が解除され、お子さん名義で年金が支払われるようになります。

  • 生計維持関係が問われない: 遺族基礎年金とは異なり、生計を共にする親がいても、お子さんが遺族厚生年金を受け取ることに制限はありません。

つまり、遺族厚生年金に関しては、養子縁組をした後も、お子さんの将来のための資金として受け取り続けることが可能です。


受給権が完全に「消える」ケースに注意

ここまでは「再婚相手との養子縁組」についてお伝えしましたが、以下のケースではお子さんの受給権が完全に消滅し、二度と受け取れなくなります。

  1. 直系血族・直系姻族「以外」の養子になったとき

    例えば、亡くなった方の兄弟姉妹(お子さんから見て叔父・叔母)や、全く血縁のない知人の養子になった場合などは、受給権が消滅します。

  2. お子さん自身が結婚したとき

    お子さんが18歳(高校卒業相当)になる前であっても、法律婚・事実婚を問わず結婚した時点で受給権はなくなります。

  3. 離縁したとき

    亡くなった方との親族関係が離縁によって終了した場合も、受給権を失います。


養子縁組をする前に確認すべきチェックリスト

再婚相手とお子さんの養子縁組を検討する際は、以下の点を確認し、家族で話し合っておきましょう。

項目遺族基礎年金遺族厚生年金
親が再婚したとき親の権利は消滅親の権利は消滅
子と再婚相手が養子縁組受給権は残るが、支給停止受給権が残り、子が受給できる
受給期間の目安18歳到達年度末まで18歳到達年度末まで

※お子さんが障害の状態(1級・2級)にある場合は、20歳未満まで対象となる場合があります。


届出を忘れると「返還」のペナルティも

親が再婚した、またはお子さんが養子縁組をしたという事実は、必ず年金事務所へ届け出る必要があります。

もし親が再婚して受給権を失っているのに、届け出をせずに親の名義で年金を受け取り続けてしまうと、それは**「不正受給」**とみなされます。後から判明した場合、過去に遡って多額の返還金を請求されることになり、新しい生活のスタートに大きな支障をきたします。


まとめ:正しい知識で新しい家族の形を

「養子縁組をすると年金がもらえなくなる」という話は、半分正解で半分間違いです。

  • 親自身の年金はなくなる

  • 遺族基礎年金はストップする

  • 遺族厚生年金はお子さんが受け取れる可能性がある

このように、年金の種類や家族の形態によって結果が変わります。遺族年金は、亡くなった方が遺してくれた「お子さんのための大切な資産」です。

再婚という新しい一歩を踏み出す前に、現在の受給状況をしっかりと把握し、必要であれば年金事務所などの窓口で「自分の場合はどうなるか」を具体的に確認することをおすすめします。正しい手続きを行うことが、お子さんと新しいパートナーとの健やかな暮らしを守ることにつながります。


遺族年金を受給中に再婚したらどうなる?受給権がなくなるケースと知っておきたい注意点