【文例あり】養育費減額の話し合いはどう進める?元配偶者への切り出し方と合意書の書き方
「再婚して新しい家族ができた」「収入が激減してしまった」など、生活状況の変化によって養育費の支払いが大きな負担になることがあります。しかし、養育費は子供のための大切なお金。一方的に支払いを止めたり、金額を減らしたりすることは法律上許されません。
穏便に、かつ確実に養育費の減額を進めるには、元配偶者との「話し合い」が不可欠です。この記事では、元配偶者への切り出し方、具体的な交渉の進め方、そして後々のトラブルを防ぐための合意書の書き方を、実用的な文例とともに詳しく解説します。
1. 養育費減額の話し合いを始める前の準備
感情的な対立を避け、建設的な議論をするためには、事前のシミュレーションが重要です。
減額が認められる「正当な理由」があるか確認
単に「生活が苦しい」だけでなく、再婚による扶養家族の増加、病気による休職、大幅な年収ダウンなど、客観的な状況の変化が必要です。
「算定表」で妥当な金額を把握する
裁判所が公表している「養育費算定表」を使い、現在の互いの年収に基づいた「適正相場」を調べます。「なんとなく安くしてほしい」ではなく「基準ではこの金額になる」と提示する方が、相手の納得感を得やすくなります。
2. 【文例】元配偶者への切り出し方
最初の連絡は、相手を驚かせたり、不快にさせたりしないよう、メールやLINEで「相談したいことがある」と丁寧に伝えるのが無難です。
連絡のポイント
一方的な「通知」ではなく「相談」の形をとる
子供への愛情や責任感に変わりがないことを強調する
現在の窮状を正直に伝える
【文例:再婚・扶養家族増加の場合】
「お疲れ様です。子供のことで少し相談したいことがあり連絡しました。
実は、こちらの家庭状況に変化があり、現在、月々の養育費の支払いが非常に厳しい状況になってしまいました。
もちろん子供の成長を支えたい気持ちに変わりはないのですが、今のままでは支払いを継続することが難しくなる恐れがあります。
今後の支払いについて、一度お話し合いの場をいただけないでしょうか。」
3. 交渉をスムーズに進めるためのテクニック
話し合いの場では、以下の3点を意識することで、合意に至る確率が高まります。
誠実な情報開示
源泉徴収票や給与明細など、収入が減ったことを証明する書類を準備しておきましょう。証拠があることで「嘘をついているのでは」という疑念を払拭できます。
段階的な減額の提案
「今月からいきなり半額」とするのではなく、「半年間は3割減、その後状況を見て再考する」といった段階的な提案や、一時的な減額を提示することで、相手の不安を和らげることができます。
子供の行事への配慮
月額は減らしても「入学祝いや卒業祝いなどは別途包む」といった姿勢を見せることで、誠意を伝えることができます。
4. 【そのまま使える】養育費減額合意書の書き方
話し合いで合意に至ったら、必ず書面に残します。口約束だけでは、後から「そんな話はしていない」と覆されるリスクがあるからです。
合意書に記載すべき必須項目
合意の成立日
当事者の氏名(甲・乙など)
対象となる子供の氏名
変更前後の金額と開始時期
支払方法(振込先口座など)
清算条項(これ以上の請求をしないことの確認)
【合意書の雛形】
養育費変更合意書
支払者(以下「甲」)と受領者(以下「乙」)は、長男〇〇(以下「丙」)の養育費に関し、以下の通り合意した。
甲及び乙は、令和〇年〇月〇日付の離婚合意書に基づき甲が乙に支払う養育費について、甲の生活状況の変化に鑑み、月額〇万円を月額〇万円に変更することに合意した。
甲は、令和〇年〇月分から丙が満22歳に達した後の最初の3月まで、前項の金員を毎月末日までに、乙が指定する銀行口座に振り込んで支払う。
本合意をもって、養育費の変更に関する協議は円満に完了したものとし、以後、甲及び乙は本件に関し、互いに何らの債権債務がないことを確認する。
令和〇年〇月〇日
(甲)住所・氏名(印)
(乙)住所・氏名(印)
5. 話し合いがまとまらない時の最終手段
もし相手が一切の話し合いを拒否したり、感情的になって話が進まなかったりする場合は、家庭裁判所に**「養育費減額請求調停」**を申し立てます。
調停では、調停委員という第三者が間に入り、双方の事情を聞き取った上で解決策を提示してくれます。調停でも決まらない場合は「審判」へと移行し、裁判官が強制的に金額を決定します。
6. まとめ:誠実さと客観的なデータが鍵
養育費の減額交渉は、単なる値切り交渉ではありません。子供の健やかな成長を維持しつつ、支払う側の生活も破綻させないための「調整」です。
まずは算定表で「妥当な額」を把握する
誠実な言葉で「相談」から始める
決まったことは必ず「合意書」に残す
この手順を踏むことで、トラブルを最小限に抑え、新しい生活への負担を軽減することができます。自分一人で進めるのが不安な場合は、弁護士などの専門家にアドバイスを求めることも一つの手です。