「苗字を変えたくない」と言われたら?子連れ再婚で養子縁組を急がない選択肢


「やっと信頼できるパートナーと巡り合えたけれど、子供が『苗字を変えるのは嫌だ』と言っている」「再婚はしたいけれど、無理に養子縁組を進めていいのか悩む」

子連れ再婚において、子供の苗字の問題は非常にデリケートです。大人にとっては「家族が一つになる証」であっても、子供にとっては「自分自身のアイデンティティ」や「友達との関係」に関わる重大な出来事だからです。

特に思春期に差し掛かった子供の場合、苗字が変わることで学校での説明を求められたり、過去の自分を否定されたような気持ちになったりすることもあります。

この記事では、子供が苗字の変更を拒んだ時の心の寄り添い方と、養子縁組を急がずに「家族」として歩んでいくための具体的な選択肢を解説します。


なぜ子供は苗字を変えたくないのか?その心理的背景

大人が思う以上に、子供にとって苗字は「自分そのもの」です。まずはその理由を理解しましょう。

1. 友人関係への影響を恐れている

学校生活において、苗字が変わることは「親が離婚・再婚したこと」を周囲に宣言するようなものだと感じる子供がいます。友達に余計な気を遣われたくない、詮索されたくないという不安は、子供にとって非常に切実な問題です。

2. 実親(離れて暮らす親)への罪悪感

苗字を変えることが、離れて暮らす実親との絆を完全に断ち切ってしまうように感じ、「お父さん(お母さん)を裏切ってしまう」と葛藤するケースがあります。

3. 自己喪失感

生まれた時から慣れ親しんできた名前が変わることに、漠然とした恐怖や違和感を抱くことがあります。これは、新しい家族を否定しているのではなく、単に「自分の一部を失いたくない」という純粋な感情です。


養子縁組を急がない「3つの選択肢」

「家族になる=養子縁組をして苗字を揃える」だけが正解ではありません。子供の気持ちを尊重しながら、生活を共にする方法は他にもあります。

① 養子縁組をせず「事実上の家族」として暮らす

入籍後、あなたとパートナーは夫婦になりますが、子供とは養子縁組をしない形です。

  • メリット: 子供の苗字は変わりません。元配偶者からの養育費が継続されやすいという経済的なメリットもあります。

  • ポイント: パートナーに相続権が発生しないなどの法的な違いはありますが、生活実態が伴っていれば、学校や病院での対応に困ることは少なくなっています。

② 通称名(旧姓)を使い続ける

学校や地域社会の理解が得られる場合、戸籍上の苗字は再婚相手のものに変えても、学校ではこれまでの苗字(通称名)を使い続けるという選択肢があります。

  • 注意点: 卒業証書や公的な書類では戸籍名が必要になるため、あらかじめ学校側と綿密な打ち合わせが必要です。

③ 子供が成人してから本人が決める

「苗字を変えるかどうかは、あなたが大人になった時に自分で決めていいよ」と選択権を子供に委ねる方法です。

  • メリット: 子供は「自分の意思を尊重してもらえた」と感じ、再婚相手への不信感が和らぎます。信頼関係が十分に築けた数年後に、子供自ら「苗字を変えたい」と言い出すケースも少なくありません。


子供と向き合う時の「黄金ルール」

子供に苗字の話をする際は、以下のポイントを意識してみてください。

  • 「多数決」にしない: パートナーとあなたの二人が賛成だからといって、子供一人を説得するのは避けましょう。

  • 期限を設けない: 「来月までに入籍するから決めて」と急かすのはNGです。

  • 「愛しているから変えたい」という言葉に注意: 大人側の愛情表現として苗字の統一を求めると、子供は「変えない=愛していない」というメッセージに受け取ってしまい、深く傷つくことがあります。


まとめ:形にこだわらない「新しい絆」の作り方

ステップファミリー(子連れ再婚家庭)において、最も大切なのは「書類上の名前」ではなく「心の安心感」です。子供が苗字を変えたくないと言った時、それは新しいパートナーを拒絶しているのではなく、自分自身を守ろうとしているサインかもしれません。

無理に苗字を揃えて家庭内にしこりを作るよりも、今の苗字のまま穏やかに暮らす道を選んだ方が、結果として家族の絆が早く深まることもあります。

「家族の形」は、自分たちでオーダーメイドしていいのです。焦らず、子供のペースに合わせて、ゆっくりと理想の家庭を築いていきましょう。


子連れ再婚と養子縁組の完全ガイド:メリット・デメリットから手続きまで解説