前妻の子に「遺留分」を請求されたら?拒否できる?後妻の生活を守るための現金準備と生命保険活用術
「夫が亡くなった後、突然、会ったこともない前妻の子から『自分の取り分をよこせ』と連絡が来た……」
「今の家を相続して住み続けたいけれど、前妻の子に支払う現金なんて持っていない」
再婚家庭において、避けて通れないのが**「遺留分(いりゅうぶん)」**の問題です。遺言書で「今の妻に全財産を譲る」と書いてあっても、前妻の子には法律で守られた最低限の取り分を請求する権利があります。
何も準備をしていなければ、最悪の場合、住み慣れた自宅を売却して現金を作らなければならない事態に陥ることも。この記事では、前妻の子からの遺留分請求を拒否できるのか、そして後妻の生活を守るために今すぐできる**「現金準備」と「生命保険活用術」**を詳しく解説します。
1. 遺留分は拒否できる?法律が定める「最低限の権利」
結論から言うと、前妻の子が正当な権利として請求してきた遺留分を、完全に拒否することは非常に困難です。
遺留分とは何か?
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保証された「最低限の遺産取得分」のことです。遺言書の内容よりも優先される強力な権利であり、たとえ親子の縁を切っていたとしても、前妻の子(実子)にはこの権利があります。
前妻の子の遺留分割合: 原則として、本来の法定相続分の「半分」です。
(例:法定相続分が1/4なら、遺留分は1/8)
「侵害額請求」は現金払いが原則
以前の法改正により、遺留分は「不動産の持分」ではなく**「現金(金銭)」**で支払うルール(遺留分侵害額請求)に変わりました。つまり、家を共有にする必要はなくなりましたが、その分、まとまったキャッシュを用意しなければならなくなったのです。
2. 後妻の生活を脅かす「不動産しかない」リスク
多くの再婚家庭で問題になるのが、財産の大部分が「今住んでいる自宅(不動産)」であるケースです。
ケース: 自宅が3,000万円、預貯金が200万円の計3,200万円の遺産。
状況: 遺言で後妻が全財産を相続。
問題: 前妻の子から遺留分(例えば400万円)を請求された場合、手元の200万円では足りず、後妻が身銭を切るか、家を売るしかなくなります。
これが、再婚家庭の相続が「争続」に直結しやすい最大の理由です。
3. 生命保険を「遺留分対策」の切り札にする方法
後妻の生活を守るための最も有効な手段の一つが、生命保険の活用です。生命保険には、相続において他の財産にはない「特別な性質」があります。
① 受取人固有の財産になる
生命保険金は、受取人として指定された人の「固有の財産」とみなされます。原則として、遺産分割協議の対象にもならず、遺留分を算出するための基礎財産にも含まれません。(※極端に高額な場合を除く)
② 遺留分の支払原資(キャッシュ)を確保できる
夫を被保険者、後妻を受取人にして生命保険に加入しておけば、万が一の際、後妻の手元に非課税枠(500万円×法定相続人数)を活用した現金が入ります。前妻の子から遺留分を請求されても、この保険金から支払うことで、自宅を手放さずに済みます。
③ 納税資金や葬儀費用の即時確保
銀行預金は名義人が亡くなると凍結されますが、生命保険金は手続き後、数日で支払われるため、急な出費にも対応できます。
4. 今すぐできる!後妻を守るための3つの具体策
トラブルを未然に防ぎ、後妻が安心して今の生活を続けられるようにするための対策を整理しましょう。
対策1:公正証書遺言の作成
まずは遺言書が必要です。「遺留分に配慮した文言」を盛り込むことで、感情的な対立を和らげることができます。付言事項(メッセージ)として、「後妻の老後の生活を支えてほしい」という想いを書き添えることも有効です。
2. 遺留分の事前シミュレーション
現在の資産を正確に把握し、前妻の子の遺留分がいくらになるのかをあらかじめ計算しておきます。不足する金額がわかれば、保険金額の設定も明確になります。
3. 「持ち戻し免除」の意思表示
結婚期間が長い場合、自宅を妻に生前贈与したり遺贈したりすることがあります。この際、「持ち戻し免除の意思表示」を明確にしておくことで、計算上の不利益を回避できる法的な優遇措置があります(※要件あり)。
5. 専門家が教える「NG対応」と「相談のメリット」
前妻の子から突然連絡が来たとき、焦って**「そんな権利はない!」「一円も払わない!」と感情的に突き返すのは逆効果**です。相手が弁護士を立てて事態が泥沼化する恐れがあります。
専門家(弁護士・税理士)に相談するメリット:
正確な遺留分額を計算し、過剰な請求をカットできる。
相手との直接交渉を代行してもらえるため、精神的負担が激減する。
生命保険や信託を組み合わせた、最適な節税・防衛スキームを構築できる。
まとめ:準備こそが最大の愛情
再婚相手への最大の愛情表現は、自分が亡くなった後の「安心」を遺してあげることです。前妻の子に遺留分があることは変えられませんが、「どうやって支払うか」の準備をしておくことで、争いを防ぎ、後妻の住まいと生活を守ることは十分に可能です。
「うちは大丈夫」と過信せず、まずは現状の資産で遺留分がいくら発生するのかを知ることから始めてください。
もし、「前妻の子から連絡が来そうで不安」「今の保険が相続対策になっているか確認したい」といったお悩みがあれば、まずは専門家へシミュレーションを依頼してみませんか?あなたの家庭に最適な、オーダーメイドの解決策をご提示いたします。
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