養子縁組をすると養育費は止まる?メリット・デメリットと手続き前の注意点


再婚が決まり、新しいパートナーと子供が「養子縁組」を検討する際、真っ先に頭をよぎるのが元配偶者からの養育費の問題です。「養子縁組をしたら養育費は打ち切りになる」という噂を聞いて、手続きを迷っている方も多いのではないでしょうか。

養子縁組は、子供の名字や相続権、そして日々の生活を支える養育費にまで大きな影響を及ぼす法的な手続きです。後悔しない選択をするために、養子縁組と養育費の相関関係、そしてメリット・デメリットを詳しく解説します。


養子縁組で養育費は止まるのか?

結論から述べると、養子縁組をすると養育費が免除(打ち切り)または大幅に減額される可能性が非常に高いのが実情です。

なぜなら、法律上の「扶養義務の順位」が変わるからです。

1. 養親が「第一順位」の扶養義務者に

子供が再婚相手と普通養子縁組を結ぶと、再婚相手は法律上の「親(養親)」となります。これにより、子供を養う一次的な義務は、実親ではなく「現在の家庭にいる養親」が負うことになります。

2. 実親は「二次的」な義務へ後退

実の親(支払い側)の扶養義務が消えるわけではありませんが、その順位は二番目に下がります。「養親が十分な収入で子供を養えているなら、実親は払わなくて良い」という考え方が一般的であるため、実親から減額や免除の請求があれば、裁判所でも認められるケースがほとんどです。


養子縁組を行うメリット

養育費が減るリスクがある一方で、養子縁組には家族の絆や生活を安定させる大きなメリットがあります。

  • 家族の名字(姓)を統一できる

    再婚相手と子供が同じ名字を名乗ることで、学校生活や公的な手続きにおいて「家族であること」を実感しやすくなり、周囲の目も気にならなくなります。

  • 再婚相手からの相続権が発生する

    養子縁組をすることで、子供には養親の法的相続人としての権利が与えられます。将来、養親に万が一のことがあった際、実子と同じように財産を引き継ぐことができます。

  • 心理的な一体感と責任感

    再婚相手が「自分の子として育てる」という覚悟を法的に示すことで、新しい家族としての結束力が強まります。


養子縁組を行うデメリットと注意点

メリットがある一方で、慎重に検討すべきデメリットも存在します。

  • 実親からの養育費が途絶えるリスク

    前述の通り、経済的な支えが減ることは避けられません。再婚相手の収入が不安定な場合、家計が苦しくなる可能性があります。

  • 実親との交流(面会交流)への影響

    法的には養子縁組と面会交流は別物ですが、心理的に実親が「もう自分の子ではない」と感じてしまい、交流が疎遠になるきっかけになることがあります。

  • 離縁(解消)の手続きが複雑

    万が一、再婚相手と離婚することになった場合、夫婦の離婚届だけでなく、子供と養親の「離縁届」も必要になります。離縁が成立しない限り、法的親子関係は継続してしまいます。


手続き前に必ず確認すべき3つのポイント

「とりあえず養子縁組を」と急ぐ前に、以下の3点を必ずチェックしてください。

① 再婚相手の経済力と意向

養親になるということは、子供が成人するまで、あるいは大学を卒業するまでの学費や生活費をすべて背負うということです。再婚相手がその責任を十分に理解し、経済的にも余裕があるかを冷静に判断する必要があります。

② 元配偶者との協議と公正証書の確認

離婚時に作成した公正証書に「養子縁組をした場合の取り決め」があるか確認しましょう。「養子縁組をしても一定額を支払う」という特約を結んでいる場合もありますが、稀です。基本的には、手続き前に元配偶者へ再婚と養子縁組の予定を伝え、今後の支払いについて話し合っておくのがトラブル回避の鉄則です。

③ 子供の年齢と気持ち

子供がある程度の年齢(15歳以上など)であれば、本人の意思が尊重されます。名字が変わることや、新しい父親(母親)との法的関係について、子供がどう感じているか、じっくりと対話することが何よりも大切です。


まとめ:家族の未来に合わせた選択を

養子縁組をするかしないかは、単なるお金の問題ではなく、新しい家族の形をどう築いていくかという決断です。

養育費が止まることによる経済的な不安がある場合は、あえて養子縁組をせずに「同居」という形をとどめ、実親からの養育費を維持するという選択肢もあります。一方で、名前を揃えて完全に新しい家族としてリスタートしたいのであれば、養子縁組は強力な後押しとなります。

どちらが正解ということはありません。それぞれの家庭の状況、再婚相手の収入、そして何より子供の幸せを最優先に考え、納得のいく答えを出してください。

もし判断に迷う場合は、家計のシミュレーションを専門家に依頼したり、法律の専門家に公正証書の書き換えについて相談したりすることをおすすめします。


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