出雲大社「大しめ縄」の全て!場所から知られざる秘密、参拝のコツまで
島根県に鎮座する、縁結びの神様として名高い「出雲大社(いづもおおやしろ)」。その象徴ともいえるのが、ど迫力の「大しめ縄」ですよね。「一度は見てみたい!」と憧れる方も多いのではないでしょうか。
でも、この大しめ縄、「一体どこにあるの?」「どんな意味があるの?」と疑問に思ったことはありませんか?今回は、大しめ縄の正しい場所から、知られざる秘密、そして出雲大社をさらに深く、心ゆくまで楽しむための参拝のコツまで、余すところなくご紹介します。
圧倒的な存在感!大しめ縄は「神楽殿(かぐらでん)」に鎮座
出雲大社を訪れる多くの方が、本殿(御本殿や拝殿)の前に最も大きな大しめ縄があると思いがちです。しかし、実はその迫力満点の大しめ縄は、**「神楽殿(かぐらでん)」**という別の建物に掲げられています。
大しめ縄の場所の見つけ方:
参拝の順路を進み、手水舎(てみずや)を過ぎて拝殿(はいでん)の前に到着したら、左手方向(西側)に進んでみてください。そこに、圧倒的な存在感を放つ巨大な大しめ縄が、堂々と姿を現します。
神楽殿に掲げられている大しめ縄は、長さ約13.6メートル、重さ約5.2トンという、日本最大級のスケールを誇ります。その大きさは、まさに圧巻の一言!近くで見上げると、その迫力に思わず息をのむでしょう。本殿や拝殿にもしめ縄はありますが、神楽殿の大しめ縄の存在感は群を抜いています。
知って驚く!大しめ縄に込められた特別な意味と秘密
ただ大きいだけじゃない!出雲大社の大しめ縄には、他の神社ではなかなか見られない、特別な意味と秘密が隠されています。
1. 神の領域と現世を隔てる「結界」、そして「神の力を宿す器」
一般的な神社のしめ縄は、神聖な場所と俗世を隔てる「結界」としての意味合いが強いとされます。しかし、出雲大社の大しめ縄は、それに加えて、**ご祭神である大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の強力な御神威(ごしんい:神様の威光や力)を、この神聖な領域に「宿し、留める」**という、特別な意味合いも持っているといわれています。
2. 全国の神社とは「逆向き」に綯われている?!
出雲大社の大しめ縄の最大の特徴は、一般的なしめ縄とは**「逆」**の方向に綯(な)われている点です。通常、しめ縄は神様から見て右側が上位(太い方が右)になるように「右綯い」で作られます。しかし、出雲大社では、**向かって左側が上位(太い方が左)となる「左綯い」**という非常に珍しい作り方をしています。
これは、古くから出雲の地で独自の文化が育まれ、「古事記」などに記される「神話の国」としての特別な格式や、他の神々とは異なる神様の世界観を表しているとされます。この逆向きのしめ縄は、まさに大国主大神の御神威の特別なあり方を象徴しているのです。
3. 地元の情熱が支える巨大な稲わらの芸術
この巨大な大しめ縄は、島根県飯南町(いいなんちょう)の有志の方々が、約1年もの歳月をかけて、地元の稲わらを使って手作業で作り上げ、奉納されています。数年に一度掛け替えが行われ、そのたびに多くの人々の情熱と祈りが込められています。しめ縄から垂れ下がっている稲わらの束は「しめの子」と呼ばれ、稲穂から豊かな「雨の恵み」を表すとされます。また、白い紙の飾りは「紙垂(しで)」といい、雷を表し、豊作への願いも込められています。
大しめ縄以外も必見!出雲大社をもっと楽しむ参拝のコツ
大しめ縄の秘密を知ったところで、出雲大社全体の参拝をより深く楽しむためのコツもご紹介します。
1. 参拝の作法は「二礼四拍手一礼(にれいよんかしゅいちれい)」
多くの神社では「二礼二拍手一礼」が一般的ですが、出雲大社では**「二礼四拍手一礼」**が正式な参拝作法です。手を4回叩くのは、「八(や)」という数字が古くから無限大の数を意味し、限りない拍手をもって神様をお讃えするという意味が込められているからです。この作法で、心を込めて神様にご挨拶しましょう。
2. まずは「祓社(はらいのやしろ)」で身を清める
正門にあたる勢溜(せいだまり)の大鳥居をくぐって参道を進むと、右手に小さな社が見えてきます。これが「祓社」です。こちらには穢れ(けがれ)を祓う神様が祀られているため、まずはここで身を清めてから本殿へ向かうのが、より丁寧な参拝の順序とされています。
3. 日本最古の「銅鳥居(どうとりい)」と触れてはならない理由
拝殿手前にあるのが、国の重要文化財にも指定されている「銅鳥居」です。江戸時代に寄進された現存する銅製の鳥居としては日本最古といわれます。歴史的な価値のある貴重なものなので、触れないように注意して見学しましょう。
4. 撫でてご利益!「神馬神牛像(しんめしんぎゅうぞう)」
銅鳥居を過ぎて左手には、銅製の馬と牛の像があります。「神馬像」は子宝・安産のご利益、そして「神牛像」は学力向上にご利益があるとされ、撫でることでそのご利益にあやかれるといわれています。
5. 「砂のお守り」を授かる「素鵞社(そがのやしろ)」
本殿の裏側にひっそりと佇む「素鵞社」は、知る人ぞ知るパワースポットです。ここには、特別なご利益があるとされる「砂のお守り」があります。社殿の下に置かれた清らかな砂を持ち帰り、自宅の庭や敷地に撒くことで、土地や家の清め、そして縁結びのご利益があるとされています。事前に、稲佐の浜(いなさのはま)の砂を持参し、素鵞社の砂と交換するのが正しい作法とされています。
6. 「縁結び」は恋愛だけじゃない!
出雲大社の「縁結び」は、男女の縁だけではありません。仕事や友人関係、家族の縁、健康や学業、そして未来の夢との縁など、人生におけるあらゆる「良いご縁」を結んでくださるとされています。境内には「因幡の白うさぎ」の像も点在しており、物語に登場するうさぎが、大国主大神と八上姫(やかみひめ)の縁を取り持ったことから、「縁結びのシンボル」として親しまれています。
最後に
出雲大社の大しめ縄は、ただの巨大な飾りではありません。そこには深い意味が込められ、神社の歴史と信仰、そして人々の願いが詰まっています。今回ご紹介した「知られざる秘密」や「参拝のコツ」を心に留めて訪れれば、きっとこれまで以上に深く、心に残る参拝となるでしょう。
神話の国・出雲で、あなたの「良いご縁」が結ばれますように。