3歳児とデジタルデバイスの付き合い方:スマホ育児のメリットとリスク
「3歳の子どもにスマートフォンやタブレットを見せても大丈夫?」「どれくらいの時間なら許されるの?」といった悩みは、現代の保護者の方々にとって共通の関心事でしょう。
3歳という時期は、言葉や社会性、運動能力が大きく発達する非常に重要な段階です。この時期のデジタルデバイスとの付き合い方次第で、子どもの発達に良い影響も悪い影響も与える可能性があります。
ここでは、3歳児のスマホ・デジタルデバイス利用に関する専門家の提言と、家庭で実践できる具体的なルールを詳しく解説します。
1. 3歳児のデジタルデバイス利用時間と専門家の提言
世界保健機関(WHO)は、子どもの健康的な成長をサポートするためのガイドラインを公表しています。
対象年齢 | 推奨されるスクリーンタイム(スマホ、タブレット、テレビなど) |
2歳未満 | 推奨しない(ビデオチャットなどの双方向的な活動を除く) |
2歳〜4歳 | 1日1時間未満 |
この提言からもわかるように、3歳児のデジタルデバイス利用は、極力短時間に制限すべきというのが世界の一般的な考え方です。長時間、一方的に動画を見せるような利用方法は、子どもの発達に様々なリスクをもたらす可能性があります。
2. 3歳児のスマホ・デジタルデバイス利用のリスク
3歳という大切な時期にデジタルデバイスを長時間使用すると、以下のようなリスクが指摘されています。
身体的なリスク
視力への影響(近視・内斜視):小さな画面を近くで見続けると、目を調節する筋肉が疲労し、近視や内斜視のリスクが高まります。
ドライアイ:画面を集中して見つめることでまばたきの回数が減り、目が乾燥しやすくなります。
運動不足・体力低下:デジタルデバイスに夢中になることで、外遊びや体を動かす時間が減少し、骨格や運動能力の発達が妨げられる可能性があります。
脳・心の発達へのリスク
言語能力・コミュニケーション機能の低下:幼児期は生身の人間とのコミュニケーションを通じて言語や感情、社会性を学びます。一方的な視聴時間が長いと、言語能力や「他者の気持ちを理解する力(心の理論)」の発達に遅れが生じる可能性が指摘されています。
集中力・睡眠障害:ゲームなどの即時的な報酬は脳の報酬回路を過度に刺激し、他の課題への動機づけを低下させる恐れがあります。また、就寝前の利用はブルーライトの影響で睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が抑制され、睡眠の質が低下します。
依存傾向:「もっと見たい」「辞められない」といった依存傾向も、この時期から兆候が見られることがあります。
3. 3歳児とデジタルデバイスの健全な付き合い方
デジタルデバイスを**「ただ子守をするツール」にするのではなく、「親子のコミュニケーションツール」「好奇心を広げるツール」**として上手に活用するためのルールと工夫を紹介します。
① 時間と場所の厳守
1日1時間未満を目安に、利用時間を厳守しましょう。
利用時間をあらかじめ予告し、「この動画が終わったらおしまいだよ」と切り替えの練習をさせましょう。
就寝前の2時間はデバイスの使用を避け、睡眠の質を確保しましょう。
② 身体への配慮(20-20-20ルール)
目と画面の距離を30cm以上離すように意識づけましょう。
**30分(または20分)**見たら、5〜10分休憩を挟みましょう。
休憩中は、**窓の外など遠く(5〜6m先)**を見て、目を休ませましょう。
③ 「ひとりでやらせない」が鉄則
保護者が必ず一緒に見て、声かけをしましょう。「何が見える?」「この動物はなんて鳴くの?」などと問いかけることで、一方的な視聴から双方向のコミュニケーションに変わり、言語の発達を促せます。
知育アプリや学習アプリに限定し、何でもアクセスできる状態は避けましょう。
親自身が子どもの前でスマホを触りすぎないよう意識することも非常に大切です。
④ リアルな体験とのバランス
デジタルデバイスの使用時間を減らした分は、外遊びや絵本の読み聞かせ、お絵かき、パズルなど、五感を使う遊びに振り替えましょう。特に外遊びは、デジタル視聴による発達への影響を軽減する可能性があると指摘されています。
3歳児にとって大切なのは、**「見る」ことよりも「触れる」「動く」「話す」**という実体験です。賢くデジタルデバイスと向き合い、健やかな成長をサポートしていきましょう。